
Research
グローバル化は、国際的な経済的不平等、すなわち新興国のキャッチアップを減少させると同時に、国内的な経済的不平等、すなわち先進国の相対的貧困の増大を拡大させます。この国際格差と国内格差のトレードオフをどのように解決すべきでしょうか。一方で、グローバル化に伴う生物・文化的多様性の低下を回避することが強く望まれています。生物・文化的多様性を保全するために、ローカルでの固有進化を促進するためには何が必要なのでしょうか。
ネットワーク科学的アプローチを用いて、商品・お金・人の流れがもたらすグローバルな相互依存性に関するビッグデータを分析し、グローバル化の多様な視点を獲得し、コミュニティの孤立化の実態を明らかにします。最後に,エビデンスに基づいた政策立案に向けた国際機関の政策提言について述べます。
商品の流れの問題では、サプライチェーン・ネットワーク、産業の孤立、資源の流れとストックの問題を選択し、それぞれの問題を解決するために、ネットワーク科学的なアプローチを用いて、商品の流れ、貨幣の流れ、 人の流れが引き起こすグローバルな相互依存関係を研究しています。
貨幣の流れの問題では、所有権ネットワーク、付加価値ネットワーク、利益移転について。
人の流れの問題では、民族の連関、移民の同化、難民についてをそれぞれ研究しています。
得られたグローバル化と孤立の見方をもとに、機械学習を用いた孤立指数の開発について議論したいと考えています。
ネットワーク科学研究から見た総合生存学
池田裕一教授による論文「Human survivability studies: concept, methodology, case studies, and prospects」が、学術誌 Innovation: The European Journal of Social Science Research に掲載されました(オンライン出版日:2025年11月1日)。
本研究は、京都大学で進められている総合生存学(Human Survivability Studies)の理念をもとに、自然科学・人文科学・社会科学を統合した超学際的な研究方法論を提示しています。現象の理解、合意形成、契約制御という三段階の研究フレームワークを提案し、ブロックチェーン技術を活用した脱炭素化や防災レジリエンスの事例を通じて、持続可能な社会の構築に向けた新たな道筋を示しています。
この研究は、ネットワーク科学・データ科学・機械学習などの手法を組み合わせて社会システムを分析し、グローバルな課題の解決に向けた超学際的な連携の可能性を探るものです。
書誌情報
Yuichi Ikeda, “Human survivability studies: concept, methodology, case studies, and prospects”,
Innovation: The European Journal of Social Science Research,
Accepted: 16 Oct 2025, Published online: 1 Nov 2025.
https://doi.org/10.1080/13511610.2025.2578251




